【芥川龍之介から堀辰雄への書簡】
冠省 原稿用紙で失礼します
詩ニ篇稿拝見しました
あなたの藝術的心境はよくわかります
或はあなたと會つただけではわからぬ
ものもわかったかも知れません
あなたの捉へ得たものをはなさずに、
そのままずんずんお進みなさい
…略…
ニ伸 なほわたしの書架にある本で
読みたい本があれば御使ひなさい
その外遠慮しちゃいけません
又わたしに遠慮を要求しても
いけません
(大正十二年十一月十八日付、
芥川龍之介からの書簡)
ー
画像は
堀辰雄文学記念館所蔵、
堀辰雄宛の
芥川龍之介書簡の封筒の複製です。
堀を励まし、
かつ自分の蔵書を
どんどん使うよう勧めています。
師としての
愛情に溢れた書簡です。
1892年(明治25年)生まれの
芥川龍之介は
堀辰雄より12歳年上なので、
堀を弟のように
思っていたのかもしれません。
一方
堀に芥川龍之介を紹介した
室生犀星は
1889年(明治22年)生まれで、
堀より15歳年上です。
堀辰雄はまだ18歳だった
1923年(大正12年)5月、
東京府立第三中学校の恩師で校長の
広瀬雄を介して
母と共に田端の室生犀星宅を訪問。
その年の10月には
室生犀星の紹介で、
田端に住む芥川龍之介を
訪れました。
室生犀星は堀の
父親がわりのような存在で、
堀が晩年
軽井沢で病床に伏していたときも
家族で堀夫婦を
支え続けています。
師弟の絆というのは
肉親と同じ、
あるいはそれ以上かもしれない
と思います。
室生犀星と芥川龍之介を、
文学上の師としていた堀辰雄。
こんな愛情にあふれた
手紙をくれていた芥川の死が
堀にどれほど大きな衝撃を与えたか、
考えるだけで胸が痛みます。










