【堀辰雄の道】
その翌朝は、
霧がひどく巻いていた。
私はレエンコートをひっかけて、
まだ釘づけにされている
教会の前を通り、
その裏の橡(とち)の林の中を
横切って行った。
その林を突き抜けると、
道は大きく曲りながら
一つの小さな流れに
沿うて行った。
しかしその朝は
その流れは霧のために
ちっとも見えなかった。
そしてただ、
せせらぎの音ばかりが
絶えず聞えていた。
(堀辰雄「美しい村」より)
ー
4月30日午前8時、
気温は6.9℃、霧雨です。
濃霧のため、
熊野皇大神社のある
碓氷峠への赤バスは
運休となりました。
画像は
軽井沢駅と
旧軽井沢銀座の通りの
間にある、
「堀辰雄の道」
(フーガの径)です。
この道沿いにかつて、
堀辰雄の住んだ別荘が
ありました。
「美しい村」では
この付近にあった
チェコスロバキア公使館の
別荘の中から、
バッハのフーガを
ピアノで練習している音が
聞こえてくる場面が
描かれています。
霧雨の軽井沢には、
文人時代の風情があります。











