【槍穂高と浅間山と堀辰雄】
そこのヴェランダに
はじめて立った私は、
錯雑した樅(もみ)の枝を透して、
すぐ自分の眼下に、
高原全帯が
大きな円を描えがきながら、
そしてここかしこに
赤い屋根だの草屋根だのを
散らばらせながら、
横たわっているのを
見下ろすことが出来た。
そうしてその高原の
尽つきるあたりから、
又、他のいくつもの丘が
私に直面しながら
緩やかに起伏していた。
それらの丘のさらに向うには、
遠くの中央アルプスらしい山脈が
青空に幽(かすか)に
爪でつけたような線を
引いていた。
そしてそれが
私のきざきざな地平線を
なしているのだった。
(堀辰雄「美しい村」)
ー
5月6日午前8時、
気温は11℃、晴れです。
画像は群馬県境近くの
町道三度山(さんどやま)線
から望む浅間山(2568m)と
離山(1256m)、
並びに真っ白な
槍穂高連峰です。
左に小さく写っている
ヤマザクラの真上に見えるのが、
奥穂高岳(3190m)です。
堀辰雄は
「中央アルプスらしい山脈」
と書いていますが、
中央アルプスは
霧ヶ峰方面の山に
遮られるので、
高山に行かなければ
望めません。
かつ中央アルプスは
いわば「船首方向」から眺めるので、
一つの山塊として目に入ります。
軽井沢から
地平線のように見えるのは、
北アルプスの山並みです。
ちなみに軽井沢駅からも、
穂高岳や槍ヶ岳が
森の梢の上に
チラリと見えています。










